超人ザオタル(99)導き手

「どうか私に真実の教えを授けてくれないでしょうか。

こんな話をできるのは、あなたしかいません。

私をザオタルさまの弟子にしてください」

シュマは真剣な目をして私を見つめた。


「弟子にすることはできません、残念ながら、シュマ殿。

もしそうしたなら、あなたはいつまでも弟子として私に頼るでしょう。

あくまでもひとりの人間として独立し、

真実を自分でその手にするべきです。


真実は誰の承認も必要ないもの。

自分の中の真実への厳しい検証と

それに対する疑問を自ら解き明かすことによって、

真実を疑いようのないものとして、自分の中に確立させていくのです。


ただし、真実の道への案内役としてなら引き受けましょう。

分からないことがあれば、何でも聞いてください。

もうお分かりかと思いますが、私の話はただの言葉に過ぎません。

それが真実になることはないのです。


ご自身の中でそれを確かめ、言葉を消化してください。

そうしてはじめて、シュマ殿は自分の中に

誰かの経験ではない真実を打ち立てることができます。

それを丹念に積み重ねていくことです」


シュマははじめ残念な顔をしていたが、

最後には私の言葉を受け入れて頷いた。

「わかりました。ありがとうございます、ザオタルさま。

ところで、私はザオタルさまのように草原に行く必要があるでしょうか」


「草原ですか、ええ、シュマ殿もいずれは草原に行くことになるでしょう。

ただ、いまはこの地で真実の理解を深めていきましょう。

いたずらに草原に行っても、何も分からない可能性が高いのです。

せっかく草原に行っても、それが無益になっては仕方ありません。


実際に何も理解しないまま、戻ってくる者がほとんどなのです。

しっかりと準備をしてからの方がいいかと思います。

それから草原に行けば、自分の真実を理解しやすいでしょう。

それでも何も得られないかもしれません。


なかなかあそこは厳しい場所なのです」

私は草原での自分を思い出して、苦笑いをした。

「わかりました、ザオタルさま。

私は草原に行くための準備をここで整えます」


草原に行けば、そこにはシュマなりの旅がある。

それでもいいのだと私は思った。

ただ、その旅の準備はあった方がいい。

この世界に存在できる限られた時間を無駄にはできない。


空風瞑想

空風瞑想は真我実現の瞑想法です。瞑想を実践する中で、いままで気づかなかった心の新しい扉を開き、静寂でありながらも存在に満ち溢れ、完全に目覚めている本当の自分をそこに見つけていきます。そうして「私は誰か」の答えを見つけ、そこを自分の拠り所にするとき、新しい視点で人生を見つめることができるようになります。