瞑想の道（17）循環と停止

　真我を理解することなく瞑想をやめてしまった人は悟ることがない。もちろん、悟ることを人生の目的にしていなければ、中途半端に瞑想をやめてしまうのは自然なことだ。瞑想で期待することが起こらないなら、これは最適な方法ではないと見限るのが妥当なことだろう。問題は何を目的として瞑想しているかだ。もし何事にも動じない平穏な心を手に入れたいなら、別に瞑想でなくてもいいのだ。身体に負荷のかかる激しい修行でもいいし、世界に対して無感覚や無関心でいるように生きることもできる。あるいは生き方に関する知識を増やせば、それによって達観した自分になり、それなりに満足できるだろう。

　もし自分という存在の核心に迫り、自分とは誰なのかの答えを知りたいのなら、瞑想するしか方法はない。思考によって、それを導き出そうとする試みもなされているが、それは言葉上の知的な理解を超えることがなく、現実的な観測にはならない。それを現実として確認できなければ、いつまでたっても予測や想像の範疇にあるだけだ。瞑想だけが真実を実際に観測できる唯一の方法なのだ。だが、それは簡単にできることではない。簡単にはできないため、自分の核心を知ることはできないのではないかと諦めたくなることもある。諦めてしまえば、自分の核心を知らないという状態にとどまり、それを見つけるための人生は何度でも繰り返し起こることになる。

　自我は世界から何かを得ようと必死になっている。そこで何かを得ることができれば、自分とは誰なのかを確信できると思うのだ。その何かを得られなければ、目的が完了したことにはならず、自我は何度でもリセットされて、この世界に誕生することになる。そうして、世界から何かを手に入れては、特別な何かを持っている自分、それによって幸せになった自分という状態をつくりだそうとするのだ。もちろん、それ自体は悪いことではない。だが、それらは世界の動きによって変化してしまうため、喪失したり反転したりする。要は最終的にそれが確実なものではなかったという現実が突きつけられる。確実なものでなければ、目的が完了したことにはならず、人生はまた繰り返される。

　自分が真我だと知ることができれば、そこで人生の目的は完了し、生まれ変わることは停止する。生まれ変わりもいいではないかと思う人もいるだろう。そうして人生を何度も得ることを望んでいる人もいる。ただ、それは先が見えず、目的さえ不明確な状況に置かれ続けるのだ。理不尽な苦しみや痛みに悩まされ、空腹や喉の乾きに耐えなければならないこともある。そんなときは、こんな人生は終わりにしたいと思うだろう。だが、生まれ変わりはそう思っても終わらないのだ。自分が真我だと知ることでしか、それは終わらない。真我は世界にはなく、自分の心の奥にのみにつながりがある。そこは世界と自我の循環から離脱していて完全に停止している。つまり、生まれ変わりとは無縁の場所だ。この場所は誰の中にも自分の核心として存在している。誰もが即座に人生の探求を完了できる機会が与えられているのだ。