超人ザオタル(37)戸惑いの瞑想

すでに部屋は深い静寂に包まれていた。

私たち三人はそれぞれに瞑想に入っていった。

私はいつもより強い力で自分の意識の奥へと沈んでいった。

だが、意識だけはぼやけることなく太陽の光のように鮮明だった。


あの場所で私は静止した。

そこは私がいるだけの世界だ。

認識だけが冴え冴えとして、何かを待っているようだった。

果たしてここに意味があるのだろうか。


この認識は私自身だった。

それは何度確かめてもそうだった。

だが、それがどうしたというのだろうか。

いつもここで行き詰まる。


私とは誰なのか。

ここにいる私とは誰なのか。

それはザオタル自身のことだ。

いや、そうではない。


これはザオタルではない。

この認識にはザオタルであるところの何も備えてはいない。

ただの純粋な認識であり、存在しているだけだ。

そこにはザオタルの知識も能力も、性格さえない。


過去の体験の記憶、歓びや苦悩さえない。

私独自の思考もなく、感情もない。

この思考は認識の外側にあるのだ。

この認識自体に思考はない。


そうだ、これはザオタルという個人を超えているのだ。

私はザオタルではなかった。

だが、瞑想していたのは確かに私ザオタルだったはず。

ザオタルはどこに行ってしまったのか。


ザオタルは完全に消失していた。

そこには私という認識だけしかない。

これは私という自分についての概念を覆すことだ。

そうだ、最終地点とはこうして今までの概念を変えていくことなのだ。


アムシャの声が聞こえた。

「ザオタルを捨てられるか」

私はそれに即答できなかった。

それはあまりにも唐突すぎたのだ。


自分を捨てることが自分を知ることになる。

最終地点では、さなぎが脱皮するような概念の転換が起こる。

だが、それを受け入れることができるか。

私はそこで戸惑った。


空風瞑想

空風瞑想は真我実現の瞑想法です。瞑想を実践する中で、いままで気づかなかった心の新しい扉を開き、静寂でありながらも存在に満ち溢れ、完全に目覚めている本当の自分をそこに見つけていきます。そうして「私は誰か」の答えを見つけ、そこを自分の拠り所にするとき、新しい視点で人生を見つめることができるようになります。